ヤン・ファン・エイクの「聖女バルバラ」  「聖母のルネサンス」石井美樹子

ところで聖女バルバラに関しては、その伝説を素晴らしいイメージに置き換えた絵画が多く描かれている。 その代表的なものが、ヤン・ファン・エイクの「聖女バルバラ」だ。 それにしてもこうして文章に出て来る名詞の喚起力! 「小アジア」「塔」「修行僧」「三つの窓」「三位一体」・・。 こうした名詞を目にし、耳にすることでイマジネーションがパノ…

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「美しい」と「きれい」は違う、あるいは岩下志麻の代表作。

美しい」と「きれい」は違うし、「きれい」と「綺麗」もまた違う。こんな差違を繊細に使い分けられるようになれば、人間的深みはきっと増してくる。いい男のこと全部「イケメン」で済ましてるようじゃ「素敵」にゃあほど遠い。 さて、「はなれ瞽女おりん」という映画がある。篠田正浩監督作で1977年の映画。同作で盲目の女性旅芸人おりんを演じた岩下志…

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「カルメン」カルロス・サウラ監督

サウラ映画の中では、この作品で見せたけれん味たっぷりのスタイリッシュなシーンの数々が好きだ。アントニオ・ガデス、パコ・デ・ルシア, クリスティーナ・オイヨスら一級のアーティストはもちろんだが、ラウラ・デル・ソルのエロスに魅了された。

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遠藤雄弥と「映画芸術」、そして戦いのためのスローガン。

遠藤雄弥は言うまでもなく素晴らしい「映画」でありその素晴らしさは多面的であるけれど、そのうちのひとつ、 彼は、「映画芸術」という言葉を使う。 わたしにすればこれは素晴らしいこと。 その理由はこれからしょっちゅう書きます。 ****** 「スローガン」 今日も映画のため、芸術のために一歩でも二歩でも、歩を進めよ…

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聖女バルバラと塔 「聖母のルネサンス」石井美樹子

キリスト教には多くの「聖人」が存在する。 近現代の聖人はともかく、中世以前の聖人伝には、あくまで「伝説」というカテゴリーに類するものが多い。 しかしとても事実とは考えられない聖人伝が、素朴な民衆から最高の芸術家まで、長い月日に渡って魅了し続けている事実を軽視してはならない。 中でも屈指の美しさを持つ聖人伝が「聖女バルバラ」に関する…

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