「処女の泉」イングマール・ベルイマン監督

「難解」の代名詞、「神の不在」を描き続けたスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督の代表作の一つだが、ストーリーや構成はシンプルそのもの。「神の存在・不在」という日本人には馴染みの薄いテーマだというだけで敬遠する必要はない。夢のような映像の中で紡ぎ出される残酷で美しい物語に酔うというのも正しい鑑賞法だと思う。それにしてもマックス・…

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「あの胸にもういちど」マリアンヌ・フェイスフル、映画的快感。

「あの胸にもういちど」は1月に死去したマリアンヌ・フェイスフルが主演。もうずいぶん前に観ているけれど、その時はピンとこなかったこと、よく覚えている。それを今観てどう感じるか。結論から言えば、「すっごくおもしろかった!」 大人の感覚が身について心底よかったと思っていることのひとつが、映画にしても文学にしても音楽にしても、若き日に理解でき…

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「ジレンマの前座劇」フランソワ・オゾン監督

30分の短編。しかし実に楽しめた。いつも遅れてくる恋人に対する不平を、美しい男ルイ・ガレルがブツブツ言いまくる下らなさ、おもしろさ。しかもその不平が詩的であり、哲学的であり、さらに映像が透徹な美しさに満ちているのが、またおかしい。フランス映画ならでは。

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日が沈んだ頃にやってきたセールスマン

もうずいぶん前のことだが・・。 日が沈んだくらいの時間だった。 誰かが来た。 わたしは玄関を開ける。 メガネを掛けたやや小柄で細身の男だ。 ほとんど説明もせぬままに箱を玄関先へ置いて、「置くだけで構いません、これ一箱、ここへ置かせてください」と言う。 置き薬のセールスだ。 「うちはもうあるから必要ありません」わたしはそう答…

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