*「こわれゆく女」、クライマックスの圧倒的美。

「こわれゆく女」のピーター・フォーク。その怒り方、ぶち切れ方がまた凄い。妻の狂気がこの映画最大のテーマだが、夫ピーター・フォークも「狂気」と見まがうばかりの凄みが爆発している。
ジーナ・ローランズとピーター・フォークの演技に圧倒されっ放しでクライマックスを迎えるが、そこでこそこの作品が誇る、あまりに映画的なとてつもないシーンが待ち受けている。 
深まる一方の妻の精神状態は遂に「入院」を家族に決断させる。そして約半年後、退院の日に夫は大勢の人を集めてパーティーを開催しようとする。母親の猛反対にあい客たちには帰ってもらい、家族と医者などで小規模な退院祝いをするのだが、妻が姿を見せてから、(治っているのか、そうではないのか、いつ爆発するのか)という疑惑が類い稀な緊迫感を醸成し、しかも小さなテーブルを囲んだ人たちの姿があたかも聖書をテーマにした優れた絵画のような、しかし映画ならではの驚くべき美を湛えている。

この記事へのコメント

2024年08月31日 02:01
緊迫感が観てみたくなりますね
どんなだろ